「聴く」とはどういうことか|私たちが大切にしている姿勢

私たちは普段、「お客様の声を聴く」という言葉を使っています。

似た言葉に「聞く」がありますが、あえて「聴く」という表現を選んでいます。

言葉としては小さな違いですが、そこには私たちが大切にしている姿勢が表れています。

今回は、この「聴く」という言葉について、少しだけ立ち止まって考えてみたいと思います。

なぜ「聴く」という言葉を使っているのか

「聞く」と「聴く」の違い

「聞く」は、音や言葉が耳に入ってくる状態を指すことが多い言葉です。

一方で「聴く」は、相手の話に意識を向けて、向き合いながら受け取るイメージがあります。

同じ「きく」でも、ただ耳に入ってくるのか、向き合って受け取るのか。

その違いは、小さなようでいて、関わり方に大きく影響します。

「聴く」という言葉を選んだ理由

私たちは、単に声を集めるのではなく、その背景まで含めて受け取りたいと考えています。

だからこそ、「聞く」ではなく「聴く」という言葉を選びました。

どんな状況で、どんなふうに感じたのか。
そこに意識を向けること。

その姿勢を大切にしたいという思いが、この言葉に込められています。

はじまりは「直接届ける」ことだった

自分たちの足で売り歩いていた時代

山忠は、もともと自分たちの足で商品を届けていました。

いわゆる行商と呼ばれる形で、一軒一軒まわりながら、直接お客様に手渡していた時代があります。

顔を見て、言葉を交わしながら届ける。

その距離の近さが、ものづくりの出発点でもありました。

その場で返ってくる声

その場で商品を手に取っていただくと、すぐに感想が返ってきます。

「履きやすい」といった声もあれば、「少し気になる」といった率直な声もあります。

良いことも、そうでないことも、その場で直接届く。

その積み重ねの中で、私たちは“声の受け取り方”を学んできました。

声は、言葉だけではない

靴下を気にする様子

言葉にならない違和感

すべての感想が、はっきりと言葉になるわけではありません。

「なんとなく合わない」
「履いていて少し気になる」

そうした曖昧な感覚も、大切なサインのひとつです。

はっきり説明できない違和感の中に、本質が含まれていることもあります。

使い続けた中で見えてくること

使い始めたときには気づかなかったことが、時間が経ってから見えてくることもあります。

「最初は良かったけれど、少しずつ気になるようになった」

そうした変化は、実際に使い続けていただいたからこそ見えてくるものです。

その時間の流れも含めて、声として受け取ることが大切だと考えています。

通販になっても変わらなかったこと

直接会えなくなったからこそ

今は直接お会いする機会が減り、通販という形でお届けすることが増えました。

距離はできましたが、大切にしている姿勢は変わっていません。

むしろ、見えない分だけ、より想像することが必要になったとも感じています。

届く声の受け取り方

通販では、さまざまな形で声が届きます。

感想やご要望、時には厳しいご意見もあります。

そのすべてを同じように扱うのではなく、背景や状況を考えながら受け取ること。

一つひとつの声に、どう向き合うかを大切にしています。

「聴く」とはどういうことなのか

表に出ている言葉だけを受け取らない

言葉として表に出ている内容だけでなく、その奥にある理由を考えること。

なぜそう感じたのか、どんな場面でそう思ったのか。

そこに目を向けることで、見えてくるものがあります。

もし、私たちがただ「履きづらい」とだけ言われたとして、それをそのまま持ち帰り、自分たちにとって履きやすい靴下を答えとして出してしまったら、それは「聴く」ではありません。

一つの声で判断しない

ひとつの意見だけで判断するのではなく、複数の声や状況を見ながら考えていきます。

すぐに答えを出すのではなく、少し時間をかけて整理することもあります。

その積み重ねが、より納得のいく形につながると考えています。

違和感を見逃さない

小さな違和感は、見過ごされやすいものです。

ただ、その中に大切なヒントが含まれていることもあります。

気づいたときに立ち止まり、その違和感に目を向けること。

それが「聴く」ことのひとつだと考えています。

ものづくりとのつながり

すべては「聴く」ことから。

商品の改良、開発は、お客様の声を受け取ることから始まります。

大きな変化ではなくても、小さな違和感をきっかけに見直すことがあります。

その積み重ねが、少しずつ増えていくことで形になっていきます。

私たちが大切にしていること

声を拾うのではなく、向き合う

私たちにとって「聴く」とは、単に声を集めることではなく、向き合うことです。

たとえば、「少しきつい気がする」という一言でも、それがいつ、どんな場面で、どのように感じられたのかによって、意味は変わってきます。

同じ言葉でも、長時間履いたあとに出たものなのか、最初に履いた瞬間の印象なのかで、受け取り方は異なります。

その背景に目を向けること。
言葉の奥にある状況を想像すること。

そうした一つひとつに向き合う姿勢を、大切にしています。

正解を決めつけない

すべての人に当てはまる正解はないと考えています。

ある人にとって心地よいものが、別の人にとっては少し違和感になることもあります。

たとえば、

しっかり支えられて安心します

私には少し強く感じるわ

このような意見の分かれ方をするときもあります。

どちらが正しいということではなく、感じ方の違いとして受け取ること。

だからこそ、一つの答えに当てはめるのではなく、それぞれの感覚を大切にしたいと考えています。

変え続ける前提でいること

ものづくりは、一度決めたら終わりではありません。

変化を前提にしながら、少しずつ見直していく。

すぐに変えることもあれば、あえて時間をかけて考えることもあります。

その積み重ねが、今のかたちにつながっていると感じています。

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